★ポスドクとは、ポスト・ドクトラルの略で、研究者を目指す人が、博士号取得後に
研究室で研究に就業することをいう。

これは、世界的なシステムで、現在では多くの国、多くの分野で、
博士号取得後に、研究室で(有給で)働いている。

自然科学系の場合、独立研究者は、予算をとってこなければならないので
それには、実績が必要である。それでポスドクを2つぐらいやってから
大学に雇用されるわけである。

しかし、ポストの数は限られているわけで、現在その不安定な雇用形態の
問題が話題になっている。

自然科学の基礎科学の場合、大義名分がたちやすい。

真理の探求だの、国の産業振興に必要なのにわれわれを冷遇するのは
おかしいとか言えるのである。


ブームだったのに… 「バイオポスドク」に受難の季節(産経新聞)

(ここから)
>大学院で博士号を取得後、定職を得ずに不安定な身分で研究を続ける「ポストドクター(ポスドク、博士研究員)」。その数は国内で1万5000人以上にのぼるとされ、うち生物学や農学などライフサイエンスを専門とする“バイオポスドク”の割合が4割も占める。

>「バイオブームに踊らされたのが、われわれバイオポスドクです」

>助手になるにも採用枠は1人か2人。応募しても100倍以上の狭き門は当たり前だ。大学の正規教員になるのは「(博士の中でも)一握りのエリート」と話す。
(ここまで)


しかし、

国の政策がどうだの、大学のあり方がどうだのといっても、

自分の立場の改善には全然ならないのである。

不平をかこちながら、経済的貧困にあえぐということになってしまう。


それどころか、国際的な競争にさらされるのである。

日本の大学であっても、日本人を有利な分野は国文学・日本文化ぐらいであろう。
(それすら、漢文なら英語で論文が書ける。)


自然科学のほぼ全分野において、英語ができれば問題はないはずである。
(「ほぼ」と書いたのは、昔の環境を調べるのに、フランス語やドイツ語が必要になる
場合があるからである。)

これからは、大学が開かれ、チャンスが与えられるようになると、
途上国の意欲的な若者が日本に押し寄せてきて、切磋琢磨することに
なるのである

己の現状を誰かのせいにする悪玉論は心地よいが、
本人にとってはなんの解決ももたらさないのである。


それとは別に、大学の改革は必要だが、それには、

たいして、仕事をしていない常勤職員の既得権益を取り上げざるを得ない。


ひと言でいえば、任期制の導入である。


「末は博士も就職難」、修了者の25%が「浪人」(読売新聞)

(ここから)
>文部科学省の調査によると、昨年3月(注 2007年3月)の博士課程修了者1万6801人のうち行き場のない人は4146人。実に25%が「浪人」を余儀なくされたのだ。しかも、この数字にアルバイトなどは含まれていない。

>◆ 大学院生倍増計画 大学院生が増えた背景には、大学院生の数を倍にすべきとした1991年の大学審議会の答申がある。大学院を新設する大学への補助金が増額され、大学院が作られた。91年時点で320だった大学院の数は、昨年5月には598に。院生も約10万人から約26万人に増加した。
(ここまで)

博士号で力尽きてしまい、ポスドクもやらなかった私ががいうのもなんだが、
ぜひ、一言コメントをしておきたい。


研究者になりたい人の場合、

研究者になるのは、芸術家になるのと同じ覚悟が必要である。

これが暗黙の前提になるのである。